体のいたるところに発生し、増殖を広げ、周囲の健康な組織まで破壊していくがん細胞。
今では早期発見や早期治療、医療技術の高度化などで予後も安定してきましたが、少し前までは死因の上位に常に食い込むくらい、死と直結した病気でした。
一度発生するといたるところに転移したりして増殖を繰り返すため、なかなか治療できない、もしくは治療が終わっても再発しやすい病気です。
がんの症状の多くは痛みです。
症状の程度によっては麻酔薬も効かないほど激しい痛みを伴うとも言われています。
他にもさまざまな症状を伴い、死への恐怖とともに、病気の苦しさから心身ともに非常に辛い病気です。
がんの看護にあたるものは、このようながん特有の痛みや症状の緩和に加え、死や病気の辛さ、加えて治療の辛さなどに対する心理的なケアを必要とされます。
また、自分が受け持つことになった患者のがんの種類や特徴、進行の仕方などのメカニズムをしっかりと勉強し、冷静に対処することが大切です。
がん患者は常に病気と闘っている状態です。
症状が急変しやすい病気でもあるため、常に冷静に、そして相手の立場に立って介護することが大切です。
患者の状態が末期である場合には、看護の領域を超えた、人間的なターミナルケアを行うことも大切です。
また、治療も副作用の強い治療が多く、抗がん剤などで髪の毛が抜け落ちてしまったり、乳がんの手術で女性のシンボルとも言える乳房を切除しなくてはならない場合もあります。
そういったときに患者さんの心を和らげることもがん看護の重要な仕事です。
症状や治療が過酷で、時には死とも向き合わなくてはいけない病気であるが故に、より人間らしい看護が行われることが大切です。